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2014年07月29日

システマティック・レビューを知る(4)

(有)健康栄養評価センター 代表取締役 柿野 賢一 氏

 

<研究デザインの質的評価>

 システマティック・レビューで「メタアナリシス」(複数の論文を一定の方法に従って統計的に統合する手法:定量的システマティック・レビュー)を行う場合でも、事前にバイアスなどを定性的に評価し、「異質性」(各研究結果の効果の大きさが大幅にばらついていることなど)を検討することによって、定量的に統合が可能かどうかを検証する。

 その際、収集した研究論文を1人の研究員だけで評価すると、評価に偏りが出る可能性がある。このため、研究デザインや対象者数、介入の方法、エンドポイント(たとえば大豆イソフラボンによる「骨の健康維持効果」の場合は骨代謝マーカー)の結果を複数の研究員がそれぞれ独自に出して、相互に確認することが望ましい。

 また、出版バイアスの存在を評価するためには、「ファンネルプロット」という手法を用いて判断する。【表5】のように、横軸に効果の大きさ、 縦軸に標本の大きさを示す。この事例では、ファンネルプロットの右下が空白となっているが、有意差がないとするネガティブな研究結果がこの部分に存在するはずと考えられる。hyou5_s

<「同質性」と「異質性」>

 収集したすべての研究結果にばらつきがないことを「同質性」という。各研究の効果の大きさが大幅にばらついていて、例えば信頼区間(全体の平均値が存在すると推測できる範囲)が重ならない場合には、「異質性」があると考えられる。

 異質性が極めて高い場合などでは、メタアナリシス分析(量的統合)は行われない。その場合は、エビデンスを質的に統合する定性的システマティック・レビューによって、エビデンスの強さを決定する。

 一方、量的統合を行うことが可能、つまり定量的システマティック・レビュー(メタアナリシス)を行うことが可能な場合は、コクランレビューハンドブックに準拠して行う。統計解析には、無料で公開されている「Review Manager(RevMan) 5.2.9」を利用するとよいだろう。メタアナリシスが行われた結果は、最終的に「フォレストプロット」と呼ばれる図で示される(【表6】参照)。

 【表6】では、大豆イソフラボンによる「骨の健康維持効果」について、メタアナリシスを行った事例を示している。(論文の考察中の記載:骨吸収マーカーの尿中DPDが有意に低下、プラセボに比べた場合は-18%、その低下効果は中程度と評価。閉経後女性はエストロゲン濃度の急激な低下が骨の再構成率の上昇を招き、結果的に骨密度が低下し、骨折リスクが上がる。大豆イソフラボン摂取による骨吸収マーカーの低下効果は、骨密度の上昇と骨折リスクの低下に寄与する可能性がある。)hyou6_s

 消費者庁の新・機能性表示制度では、研究レビューを実施する場合、定性的・定量的のどちらでも構わないことになるとみられている。ただし、検討会報告書(案)には、「システマティック・レビューの結果、査読つきの臨床研究論文が1本もない場合、または表示しようとする機能について、査読つきの臨床研究論文がこれを支持しない場合は、機能性表示を行うための科学的根拠が十分ではないとみなし、機能性表示を認めないこと」と明記されている。この規定は、システマティック・レビューの基本に沿ったものと言える。

(つづく)

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