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2014年07月24日

システマティック・レビューを知る(1)

(有)健康栄養評価センター 代表取締役 柿野 賢一 氏

 消費者庁が来春に導入する新・機能性表示制度は、関与成分や商品の機能性を実証する場合、収集した論文を「システマティック・レビュー」によって総合的に評価することを企業に求めている。製薬メーカー系企業の関係者ならば「システマティック・レビュー」と聞いてピンとくる人も多いが、一般的な健康食品企業では意外と知られていない言葉である。本連載では、(有)健康栄養評価センター代表取締役の柿野賢一氏が「システマティック・レビュー」の基礎知識を紹介する。

< システマティック・レビューって何?>

 まずは、システマティック・レビューの定義を知ろう。一般的には、「あるテーマに関する論文を系統的に収集し、個々の報告の質を吟味し、可能な場合には統計的に知見を統合して一定の結論を導く手法」と定義される。たとえば、難消化性デキストリンと血糖値をテーマに、データベースから論文を検索して収集するとする。この場合、収集した各論文の中身を精査したうえで、可能な限り複数の論文を統合して、総合的な判断によって結論を出す。結論が機能性の根拠として十分と判断できる場合、新制度では「正常な血糖値をサポート」といった表示が可能になるとみられている。

 複数の論文を一定の方法に従って統計的(定量的)に統合する手法を「メタアナリシス」と呼ぶ。それぞれの研究結果にはばらつきが出てくるため、メタアナリシスによって複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を示すことが望ましい。ただし、研究デザインの違いなどから、メタアナリシスが実施できないケースもある。

 新制度で機能性を実証する場合、サプリメントについてはヒト介入試験(臨床試験)がレビューの対象となる。一般加工食品や生鮮食品では、それに加えて観察研究も使用できる。
 ここで、研究デザインについて確認しておく。ヒトを対象とした場合に最も信頼性の高い研究デザインは、「ランダム化比較試験(RCT)」である。一方、観察研究のうち、コホート研究(とくに前向きコホート研究)は質の高い研究である。ただし、疾病と要因の関連性が主となる。

 ほかにも、ランダム化していない介入研究や、症例対照研究などの観察研究、症例報告などの記述研究といわれるものもある。しかし、これらは調査方法のバイアス(偏り・偏見)や、交絡因子(調査対象でない因子であり、結果に影響を与え得るもの)の存在によって、信憑性を歪める可能性がある。

<トータリティ・オブ・エビデンスの考え方を具現化>
 研究デザインのなかで、RCTが最も信頼性の高い試験方法であると述べた。しかし、【表1】のとおり、システマティック・レビューよりもエビデンスレベルが劣るとされている。なぜなら、RCTによって得られた1報の学術論文は、あくまで1つの研究結果、つまり「点」にすぎないからだ。偶然、研究結果が良い方に、または悪い方に偏る可能性が否定できない。hyou1_s

 たとえば、ある研究テーマのRCTが世界中で実施され、多数の学術論文が公表されると、それぞれの論文によって研究結果にバラつきが見られるようになる。研究結果はポジティブな結果ばかりではなく、ネガティブなものもある。また、研究結果が思わしくなかったり、研究者にとって都合が悪かったりすると、意図的に葬られてしまう可能性もある。これを出版バイアスという。

 こうした問題や、研究者の利害関係も考慮したうえで、総合的に評価して、より信頼性の高い結論にたどり着こうとする考え方が「トータリティ・オブ・エビデンス(Totality of Evidence)」。そして、この考え方を具現化させた評価手法が、システマティック・レビューである。

 さて、消費者庁の検討会報告書(案)で示されたシステマティック・レビューのポイントを確認しておく。(1)検索条件、(2)採択・不採択の文献情報、(3)結果に至るプロセス、(4)スポンサー・共同スポンサー、利益相反に関する情報、(5)出版バイアスの検討結果――などの詳細も公表することとしている。また、海外の研究も対象とするが、日本人への外挿性(日本人にあてはめて推測すること)も考慮するように求めている。新制度でシステマティック・レビューを行う場合には、こうした点に留意することも重要となる。

(つづく)

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