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2015年09月01日

『蹴脂粒』問題を振り返る

【解説】
 エノキタケ抽出物を配合した機能性表示食品『蹴脂粒』((株)リコム)について、消費者庁は「届出要件を満たさない状況にはない」(板東長官)と判断した。消費者団体やマスコミからの突き上げが激しいなか、結論を出すのは容易でなかったと想像できる。公平で、適切な決断だったと歓迎したい。

 もし、受理を撤回すると判断した場合には、いくつかの問題がクローズアップされたはずだ。その1つに、特定保健用食品(トクホ)との境界が、あいまいになってしまう懸念があった。
 『蹴脂粒』は、安全性で指摘されたトクホ申請商品と同じ成分を使用。このため、消費者団体は機能性表示食品でも受理すべきでないと批判する。しかし、両制度はまったく異なる仕組みである。「トクホで却下」イコール「機能性表示食品もダメ」という図式は成り立たない。そうでなければ、企業責任という機能性表示食品制度の根幹を揺るがすことになり、消費者にとってはトクホとの違いが見えなくなってしまう。そうした最悪の事態は、今回避けられたわけだ。
 当然ながら、食品安全委員会が「安全性に問題がある」と結論付けた場合は、機能性表示食品でも受理されないだろう。いわゆる健康食品なども規制される可能性がある。

 トクホ審査で指摘が出たエノキタケ抽出物配合商品について、食品安全委員会は「安全性に問題があると言っているわけではない」(事務局)と強調する。安全性を評価するためのデータが不足している点を指摘しただけだ。つまり、「安全」とも「安全でない」とも判断しなかったわけである。トクホの場合、データ不足は却下する十分な理由となる。国がお墨付きを与えるトクホとしては、当然の措置だ。
 これに対し、機能性表示食品は企業の自己責任で評価する制度。学識経験者からも「(『蹴脂粒』については)このレベルの問題であるとすると、受理を撤回させるほどの話ではない」との声が出ていた。

 このほか、トクホに申請しなければ、機能性表示食品で問題にならなかったと思われる点も指摘したい。つまり、この間、トクホに申請すると不利になるという、ある種の矛盾を感じさせる状況にあった。このことは『蹴脂粒』に限った話ではない。トクホに手が届かなかった商品が、機能性表示食品として登場する事例はほかにもある。それについて、消費者団体などは批判している。だが、両制度がまったく異なるものである以上、トクホの評価結果を持ち出して批判することは、もはや”言いがかり”に近いと言えるだろう。

 消費者庁は公平なジャッジを行ったわけだが、同時に今後の課題も浮き彫りとなった。今回の問題を精査するため、消費者庁は自ら『蹴脂粒』の類似食品の食経験を調査した。しかし、本来ならば届出企業が実施し、追加資料として提出するのが筋とみられる。

 また、食品安全委員会の評価結果を機能性表示食品制度でどう位置づけるのか。この点を明確にすることも、今後の課題に浮上している。

【木村 祐作】

 

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